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本記事の信頼性
・本記事を書いている筆者は投資歴4年です。
・現在は夫婦で約1500万円運用中。
・つみたてNISA、iDeCo、個別株(日本株)に投資しています。
目次
そもそも新NISAって何?-新NISAとは非課税でお得に投資できる制度!
NISAとは「少額投資非課税制度」のことを言います。
本来、個人で株式や投資信託などで投資して利益や配当金を得た場合、その利益や配当金のうち約20%(正確には20.315%)が税金で取られてしまいます。
だけどNISAの制度を使って投資したら、利益・配当金に税金がかからない(=非課税)のでお得だよ!という国が作った制度です。
たとえば利益が20万円出たら…
通常だと約4万円が税金として取られるので、手元に残るのは約16万円です。
これがNISAの制度を使うだけで20万円まるまる手元に残るので、メリットの大きい制度と言えます。
上記の例は20万円の場合ですが、この利益が10万円、50万円、100万円・・・と大きくなるにつれて、税金を払う場合と非課税の場合の差がどんどん開いていきますよね。
なので新NISAを活用したら、投資期間が長くなる&投資額が増えるにつれて、より効率的に運用することが期待できます。
新NISAの概要
いつ、なんのために始まった制度?
新NISAは2024年1月~始まったばかりの新しい制度です。
ですが、新NISAと対比した「旧NISA」という言葉を聞いたことがある人もいるかと思います。この旧NISAは今から10年前の2014年に、政府が”家計の安定的な資産形成の支援と成長資金の供給を目的”として導入しました。
(余談ですが、NISAという言葉の中のISAというのは、Individual Saving Accountの略で、イギリスで1999年に英国居住者を対象とした税制優遇措置として導入された個人貯蓄口座のことです。これがイギリスで定着したことを参考にして、日本版ISAということでNipponを頭にくっつけてNISA制度が誕生しました。)
その旧NISAの評判が良かったこともあり、政府としては「個人の資産形成はもちろんのこと、各家庭の預貯金を投資に回してもらって日本経済全体を成長させよう!」という方針の下、今回大幅に制度をバージョンアップして「新NISA」として生まれ変わったのです。
つまり、いまの時代は国が主導して「貯蓄から投資へ」が勧められる時代になってきたともいえます。
新NISAの仕組み
新NISAの仕組みを以下の表にまとめました。
2024年以降の新NISA | ||
成長投資枠 | つみたて投資枠 | |
年間投資枠 | 120万円 | 240万円 |
非課税保有期間 | 無期限 | |
非課税保有限度額 | 1800万円 | |
口座開設期間 | 恒久化 | |
投資対象商品 | つみたて、分散投資に適した一定の投資信託 | 上場株式、投資信託等 |
対象者 | 18歳以上(日本居住に限る) |
(表は金融庁HPを元に作成)
新NISAはつみたてNISA/一般NISAからどう変わった?
新NISAは旧NISA(つみたてNISA/一般NISA)から大幅にバージョンアップしたと先述しました。では具体的にどのように変わったのでしょうか。
ものすごく簡潔に言うと、できること・選べる幅が増えました。
メリットが大きい一方、デメリットもあるので詳しく説明していきます。
新NISAのメリット
・メリット①:投資できる金額が増えた
・メリット②:投資信託・個別株の両方に投資できる
・メリット③:一生涯にわたり投資できる!売買のタイミングも自由に
・メリット④:非課税投資枠の再利用が可能になった
新NISAのデメリット
・デメリット①:旧NISA(つみたてNISA、一般NISA)の保有商品をそのまま引き継げない
・デメリット②:商品の選び方や投資判断が難しくなった
新NISAのメリット
メリット①:投資できる金額が増えた
NISAでは非課税で投資できる上限が決まっています。2023年までの旧NISAでは以下のように投資枠が定められていました。
旧NISAで投資できる金額
・つみたてNISA:年間40万円(×20年=最大800万円)
・一般NISA:年間120万円(×5年=最大600万円)
それが、新NISAでは以下のように大幅に増えました。
新NISAで投資できる金額
・つみたて投資枠:年間120万円
・成長投資枠:年間240万円
ふたつの枠を併用可能で、併せて年間360万円
生涯では最大1800万円(つみたて投資枠600万円、成長投資枠1200万円)
このように、新NISAでは1年間に投資できる額も、一生涯に投資できる最大額も大幅に増えました。
さらに、新NISAでは、旧NISAではできなかったつみたて投資枠+成長投資枠の併用が可能になりました。これにより、選べる投資商品の幅がぐっと広がりました。
そのため「旧NISAだと枠をすぐに使い切ってしまっていた」「知識も増えてきたし投資額を増やして積極的に運用していこう」といった人には嬉しい変更点ですね。
メリット②:投資信託・個別株の両方に投資できる
先ほどお伝えした通り、旧NISAではつみたてNISAか一般NISAのどちらかを選択する必要がありました。また、そのどちらを選んだかによって、投資できる商品が異なりました。
旧NISAで投資できた商品
・つみたてNISA:金融庁が「長期・積立・分散投資に適している」と認めた一定の投資信託
・一般NISA:上場株式、投資信託など
一方、新NISAでは以下の通りです。
新NISAで投資できる商品
・つみたて投資枠:金融庁が「長期・積立・分散投資に適している」と認めた一定の投資信託
・成長投資枠:上場株式や投資信託など
ただし先述の通り両枠は併用可能
つみたてNISAで選べた商品=新NISAでのつみたて投資枠で選べる商品であり、
一般NISAで選べた商品=新NISAでの成長投資枠で選べる商品、と理解してもらえると大体OKです。
「じゃあ旧NISAも新NISAも一緒じゃん」と思った方もいるかもしれませんが、新NISAではふたつの枠が併用可能になりましたよね。それが大きなポイントなのです。
旧NISAではつみたてNISAを選択した場合、途中で「個別株にもチャレンジしたい!」と思ってもNISAの非課税枠では投資できないというデメリットがありました。
それが新NISAではつみたてに適した投資信託も上場株式も、同時に非課税で投資できるようになったので、「最初はつみたてから始めたけど、知識もついてきたし個別株をやってみよう」という選択もできるようになりました。
まさに、夢の欲張りセットが実現したような感じです。
メリット③:一生涯にわたり投資できる!売買のタイミングも自由に
新NISAでは金額だけでなく投資期間についても拡充されました。
旧NISAの投資できる期間
∗つみたてNISA:20年
∗一般NISA:5年
新NISAで投資できる期間
∗つみたて投資枠:無期限
∗成長投資枠:無期限
旧NISAの場合、つみたてNISAで20年、一般NISAで5年の制限があったため、その期間内に売却しなければ、せっかくNISAを使って投資していても課税されてしまうというシステムでした。
そのため、相場が下がっているのに期限が近づいているから急いで売却しなければ!とタイミング次第では損する恐れがありました。
それが今回の変更により無期限になったため、NISAで投資した商品はいつでも自分の好きなタイミングで売却することができるようになりました。
つまり新NISAは、いつでも始められていつまでも続けられ、さらに焦ったりする必要もなく自分のペースで自由に売買できる制度に生まれ変わったのです。
メリット④:非課税投資枠の再利用が可能になった
少し難しい話になってしまいますが、新NISAでは非課税投資枠の「再利用」ができるようになりました。
旧NISAでは非課税投資枠を使い切るとそれっきりでした。 NISAで投資できる金額の上限に達した後は売却をしても枠が空くことはなく、新たに購入することはできない、というルールでした。
旧NISAの場合
∗非課税投資枠の再利用は不可
つみたてNISAだと800万円、一般NISAだと600万円分の枠を使ったら終了
新NISAの場合
∗非課税投資枠の再利用が可能
つみたて投資枠と成長投資枠を併せて最大1800万円。枠を使って投資しても、保有している商品を売却したら枠が復活して再度非課税で投資できる
新NISAにおける投資枠の再利用とは、たとえば上限の計360万円ずつ毎年投資し続けたとしたら、5年間で1800万円の枠すべて使い切ってしまいます。
でも5年間のどこかのタイミングで、1年目に投資した360万円分の商品をすべて売却したら、6年目にその360万円分の枠が復活して、またつみたて投資枠で120万円・成長投資枠で240万円の計360万円を新たに再投資できる、という仕組みです。
この再利用制度を使えば、戦略次第では半永久的に非課税枠で投資を繰り返すこともできるので、相場や自分の状況に応じて柔軟に戦略を練ることができます。
ただ、枠が復活するのはあくまで使い切った年の翌年以降であることには注意が必要です。1年間の限度額は360万円で、途中で売却しても1年間の上限を超えて枠が復活するわけではないので気をつけてください。
新NISAのデメリット
デメリット①:つみたてNISA/一般NISAの保有商品をそのまま引き継げない
これ、私の周りで勘違いしている人が多いので、皆さんにもいま一度しっかり確認してほしい内容です。
2023年末までに、既に旧NISAでつみたてNISAや一般NISAを利用していた場合、そこで保有していた資産は新NISAに移管できません。
新NISAと旧NISAは同じ制度で内容が少し変わっただけ、と理解している人も少なくないと思いますが、名前がほぼ一緒でも全く別の制度である、と認識してください。
なので、これまで旧NISAでつみたてNISAや一般NISAで投資していた商品は、それぞれの非課税期間終了まで(つみたて20年、一般5年)は非課税のまま保有できますが、期限があることと枠の再利用ができないことには注意が必要です。
なお、つみたてNISAや一般NISAの口座を持っている人は、その証券会社で自動的に新NISA口座が開設されています。
つみたてNISAに関しては設定がそのまま新NISAにも引き継がれるので、切り替え設定を何もしていなければ、同じ商品をこれまでと同じ金額ずつ引き続き新NISA枠でもつみたてていくことになります。その場合も「つみたてNISAで投資した分」と「新NISAで投資した分」は非課税期間などで扱いが異なるため要注意です。
デメリット②:投資判断が難しくなった
新NISAのメリットは総じて「投資できる幅が格段に広がった」ことですが、それは裏を返せば、「選択肢が増えた分、自分で考えたり選んだりすることが多くなって投資判断が難しい」とも取れます。
何をどのタイミングで売買すれば良いか判断に困るな~という人には、まずはつみたて投資枠を使って少額から毎月コツコツと投資してみるのがおすすめです。
つみたて投資枠で購入できる投資信託は国の基準を満たした一定の商品なので、上場株式等に比べると商品選びのハードルも低いです。またリスクもある程度抑えながら毎月定額をつみたてることで、毎日相場をチェックせずとも「ほったらかし投資」をすることもできます。
新NISAではつみたて投資枠と成長投資枠の併用が可能になりましたが、右も左もわからない状態で最初から上限いっぱいまで投資する必要はありません。
投資は金銭的な面でも精神的な面でも自分にとって心地よい状態で行うことが重要です。なので、まずは月々の収支で少し浮いたお金があれば、焦らず自分のペースでつみたて投資枠でつみたてていくのが良いかと思います。
新NISAを始めるには専用の口座開設が必要
新NISAで投資を始めるには、銀行や証券会社で専用の口座を作る必要があります。
専用の口座は各金融機関のWebサイトから作れます。金融機関によってはネット口座の開設から最速2日で取引を始められるところもありますが、いずれにせよ手続きには少し時間がかかるので、前もって準備するようにしましょう。
まとめ
新NISAは、18歳以上で日本に住んでいる人は誰でもお得に投資できる制度です。2024年1月~の大幅バージョンアップにより、投資の選択肢が格段に広がりましたが、自分に無理のない範囲で、心地よいペースでNISAの制度を使っていきましょう。